daily thinking running

86世代として日々想い、走る日々。

マンガサービスを作っていると子供たちの顔が浮かぶ

マンガアプリはもう3年とか5年とか、マンガWEBは5年とか10年とか続くものが出てきていて、立ち上げ期は順調に終わり、成長期が続いている。できることがたくさんあるし、やりがいもある。でも、1年前くらいからちょっと事業としてのフェーズは成長期だけど、サービスとしてのフェーズは変革期になりつつあるんじゃないか?と思い始めている。

 

サービスと事業は振り子の両端のようなもので、最初はサービスの革新で始まって、それが自信になって事業の革新が始まる。事業として成功すればその売り上げを使って新しいサービス革新が始まる。この振り子を繰り返していく。1年くらい前から漫画関連のサービスはサービス革新に振り子が揺れているように思う。

 

サービスが増えて、事業的にもうまくいっていることで、話売り/定期購読/チケット制/待てば無料/レンタル/無料連載/投げ銭などなど様々な機能が出てきてる。実際、開発や企画の現場でもユーザーに刺さってかつ、ほかにもない真新しい企画がないかということを突き詰める機会が増えてきた。

 

ただ、そういったサービスの新しい側面を考える中で、新しいことをやりすぎても個性が出すぎて刺さらないということもなんとなく想像している。そうなると、革新したいから誰もやっていないけど、みんなにニーズがあることをやる必要がある。そんなの簡単にできることはないので、必然的にコストをかけてしっかりとやることになる。

 

そうなると「なぜやるのか」というのを強く問う機会が増えていくのですが、個人的に最近注目しているのは、紙の本で自然に起きていたことを改めて「大規模に」「真面目に」取り組んでみる企画を考えてみたいなぁと。それが左手。右手には、多くのサービスの事業革新について、後からついていってうまくいったものだけを真似する。そういうバランスでやっていきたいと思っている。振り子が2年後くらいにサービスに戻ってきたときに、先んじてこの2年間に試したことが意味があるのではないかと。

 

そんな時、紙の本で自然に起きていたことを考えるとついつい自分の子供たちの顔が浮かぶ。私の娘は、本をすごい読む子供に育って、もう小学生に入って100-200冊くらい本を読んでいるようです。僕の影響で刑事もののドラマも好きです。ちょくちょくマンガも読んでいるのですが習慣化していません。マンガを読む際「単行本を買う」「コロコロを読む」「無料サイトを見る」の3つが習慣化に重要だと思っています。でも、今の子供にとって単行本を買う機会は少ないし、無料サイトを見るのはちょっと難しい(パソコンもスマホもないから)。そうなるとコロコロを読むとなるので、コミックDAYSという雑誌のPFサービスをやっている以上、ユーザーの子供たちに使ってもらうためにできることはないか?と考える機会が増えています。

 

コミックDAYSアプリはまだまだ発展途上ですが、その先には家族の本棚がゴールの1つになる可能性を持っていると思う。その可能性に向けて紙の本で自然に起きていたことをしっかりと実現して他のサービスにはない快適な水準になること。それこそAndroidTVで使うNetflixのような快適性を2年くらいかけて積み上げていけたら面白いことになるんじゃないかな?なんて考えています。

 

事業革新からサービス革新に向かう中で、はてなの担当するサービス群を考えると、家族のためのマンガサービスを目指して開発をする機会が増える可能性があると思います。 開発するのめちゃくちゃ面白そうですね。正直、ワクワクします。子供のためにマンガサービスを作るの楽しいですよ。おすすめです。

 

(コミックDAYSがわかりやすいので例として出しましたが、DAYSとしての方針が上記のように定まっているというわけではありません、あくまでも想像できる方向説の1つです、あしからず)

 

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仕組みや狙いを理解して使いたいユーザーとそこまで気にはしないユーザー

たとえば、アメリカでAmazonKindleが発売されたときに、本のDLにかかる通信料をAmazonが負担するというサービスがあった。これは、「宣伝費」「書籍の販売から得られる利益」「端末の販売から得られる利益」のうちどこかで負担されているはず。

 

多くのサービスがユーザーに提示するメリットには、多くの場合に提供するメリットに紐づく対価があるはず。メリットを大きくするには「人数が多い」「利幅が大きい(生産性が高い)」「長期的にユーザーが利用する」のいずれかを増やしていけばよい。これらに比例して大きなメリットを提供できるはず。携帯電話の半額やPayPayの20%キャッシュバックキャンペーンなどはユーザーに提示するメリットとしては大きいがその分、上記のいずれかの強みがサービス・ビジネス特性としてあるからと説明がつくだろう。

 

こういったビジネス的な取り組みについて、狙いや仕組みをユーザーに明かさないというのは一般的で、「無料です、開発費のために広告掲載しています」程度はあっても、詳細なものまでは出せないことが多いと思う。これは出すという発想がないこともあるだろうし、様々なサービスで溢れかえる中で、選んでもらうには少しでもチープに見えないように、サービス基盤が脆弱に見えないようにという思いが提供者側にあるからではないかと思っている。

 

そんな中で、サービスの企画開発を全面的にサポートしている各版元さんのマンガサービスにおいて、その仕組みや考え方を適度にユーザーに伝えていく取り組みをしていくのは重要かなと感じている。

 

comic-days.com

 

マンガサービスは書店だけではなく、無料であろうが有料であろうが、雑誌的な側面に注目した場合に「定期訪問」サービスになっていく。いわゆるサブスクリプションの一種だと思う。この定期訪問をするにあたって、サービスに対する期待値や信頼度、将来性といった部分を大事にするユーザー群というのがいるなと個人的に想定している。ただし、このユーザーはそこまでもちろん多くない。そのうえで、メッセージを出して届けたいのは、ライトな接点を持っているユーザーを含めてすべてのユーザーではなくて、やはりそういった「サービスを正しく理解したいユーザー」たちだと最近は考えている。

 

 

XiaomiがOSを作りアップデートしていく過程で獲得していった能動的な関与をしてくれるユーザー群と雑誌に対して能動的に関与してくれるユーザー群が僕には重なって見える。そういったユーザーにとって重要なことは、1つ1つの判断の理由をより詳細に知ることができる手段があることだと考える。

 

マンガサービス含めて多くのWEBサービスを作っていく中で、情報が足りず「○○ではなくてこちらの開発をしてほしい」といったユーザーニーズは常に届く。その1つ1つに先手を打ってタイムリーに情報を出していくのは、センスや努力が必要な領域だと思う。でも、遅れたと思ってもユーザーに情報を出していく姿勢は重要なはずだ。

bookmark.hatenastaff.com

 

そういう意味では、最近はマンガサービス中心の開発をしているので関わる機会が減ったはてなブックマークの上記の告知は社内ながらとても良い告知をしているなと感じていた。

 

 

仕組みや狙いを理解して使いたいユーザーはもしかすると全体のユーザーの10%、5%にも満たないかもしれない。彼らのためにコミュニティ機能を作ることはコストに割に合わないかもしれない。でも、なにがしか接続点を用意することで、業界やサービスが持たれている誤った認識もすこしずつアップデートできるかもしれない。電子書籍や出版の業界はネガティブな情報とポジティブな情報で言うと全社の方がニュースになることが多い。それは、新しいことをやっている取り組みが、そういった「仕組みを理解したい」ユーザーに届いていないからなのではないか?と個人的には考えている。

 

そこまで気にしないユーザーにとっては非常に便利な仕組みを多くのマンガサービスは提供し始めていると思うし、無意識にそういった新しいサービスを取りこんで新しいマンガ体験をしているユーザーも多くいると思う。それはとても幸せなことだし、とても大事なことだけど、もう少しだけ仕組みや狙いを明らかにして、業界の空気を上向きにすることというのは増やしていけたらいいなぁと思っている。

 

はてなが作る以上、CGMであろうがなかろうが、ユーザーに応援され一緒になって盛り上げていくサービスであること、それは大事にしていきたい。すこし古い概念だと思うが、Web2.0的な取り組みは、サービスが増え続ける今だからこそ重要になってきているのではないかなと信じている。少しずつ、マンガサービスや業界の仕組みや狙いもこのブログで書いていきたいと最近は思い始めています。

重版出来を買った

似てる人が出てくるようなのですが、完全に別人かと思われます。株式会社フシギ。坊主。実家に帰ったら親に読ませてみよう。

 みんなも↑のリンクからどんどん買って読んでくれよな。

今週の目標はRSSを整理すること

blog.sushi.money

 

倣って書いてみます。1か月前くらいに、確定拠出型年金の資産のリバランスをしないとなーと思ったものの忘れてしまった結果、世界同時株安になって20万円くらい損をした。ということで、忘れないように書くことにしてみました。

 

最近RSSを新しく数件増やしたので、その結果分量が増えてしまったので整理したい。個人的にはビジネス系のメディアを整理したいのですが、どれも必ず1,2件は気になる記事があるので整理できずにいる。

 

一番厄介なのはBUZZFEEDで興味がない記事90%なのに、興味がある記事は本当に面白いし、新しことをやってくれるのではないかと期待してチェックしてしまう。でも記事数も多いし、続報的なアプローチも多いので、興味ないときはRSSを処理するのが面倒に感じることもある。いったん外してみるかなー。

10年以上続くサービスが終わるときに

自分が作ったり、関わったサービスが仮に10年以上続いて、そしてそれを熱心に使い続けてくれる人がいるとしたら、想像をするだけでとても幸せなことだと思う。今、ぼくらが作ってきたGigaViewerはいってしまえば、紙と印刷技術と出版配送と書店業務をマンガという観点でWEBに持ち込むことだと思う。

 

そう考えると、ジャンプが50周年以上続いているように、GigaViewerは50年後も残るマンガのサービスなのかもしれない。全く想像ができないけれど。

 

ただ、長く続くサービスの本当の最初にかかわれることはとても幸せなことだと思う。それ以上に、長く愛されるサービスを運営し続けることもとても幸せなことだと思う。初心に返ってGigaViewerのかかわる全てのサービスを長く愛されるサービスにできるように最大限、努力をしていきたいと思った、そんな日でした。

 

2019年春「はてなダイアリー」終了のお知らせと「はてなブログ」への移行のお願い - はてなダイアリー日記

ブログが一番楽しかった時期は、今は記事を削除した昔のはてなダイアリーを書いていた大学時代。はてなに在籍しインターネットを通してコンテンツを配信するサービスを作る中、原点となったサービスです。感謝。

2018/08/30 10:34

b.hatena.ne.jp

社内横断で開発効率を上げる取り組みのための(個人的な)取り組み

blog.sushi.money

 

週末、トライアンドエラーに対するエントリが上がっていましたね。hitodeくんと一緒のチームに所属しているので、社内横断で開発効率を上げる取り組みをするために、同じチームの上長として考えてきたことを書いてみます。

 

僕は普段、マンガチームのディレクターを拝命しています。hitodeくんの所属チームはこのマンガチームとCTO室です。兼務で仕事をしてもらっているのですが、兼務をすること自体をCTOである id:motemen と本人に提案したのは僕だったと記憶しています。というのも、社内横断で開発効率を上げる取り組みをmotemenが企図している中で、hitodeくんはその活動に最適な人員として実感していたからです。とはいえ、チームで活躍するhitodeくんをそのままCTO室に出してしまうと4ヵ月連続でリリースしているチームの推進力を失ってしまうという「恐怖」も感じていました。

 

僕自身は、マンガチームのディレクターという役割に加えて、開発副本部長という役割も頂いています。この役職は事業を見るプロデューサーやサービスを見るディレクターという役割と異なり、組織をより良くするために改善できることを改善する役割です。その役割担っていることやマンガチームが非常にエンジニア数が多いチームであることにも後押しされて、なんとか恐怖に打ち勝って「兼務」という形をCTO室に提案することができました。

 

この恐怖というのものは厄介なもので、ディレクターはサービスと作るためにはできるだけサービスのために時間や人員を確保したいという気持ちが強くあります。ディレクターはサービスを作り、運営することが好きなこともあり、そもそもそのために時間がほしいという気質もあるでしょう。また、この手の開発効率を上げる取り組みに対して、自分が行う開発よりも「価値がある」と心の底から信じられるディレクターは少ないと思います。この「自分がやりたいこと」がやれず、「意味があるかわからないこと」に人を出すという恐怖がディレクターには少なからずあるはずです。

 

では、そうなると「兼務」という形で両方をとろうとするのですが、ディレクターがこの恐怖が頭から離れていない場合の「兼務」はうまくいかないことが多いと感じています。たとえば時間を区切って、仮に80%は自分のチーム、20%は他所のチームとした場合、80%の中で最大化することを意識してしまいがちです。また少なくなった分、どうにか効率的にできないかと考えがちです。

 

今回、hitodeくんの兼務にあたっては、この考え方から脱却しよう、それをできるだけ自分の気持ちや頭の中の仕組みで解決しようと考えていました。ちょうど数か月たって、こういう気持ち、こういう考え方が良いのではないかと思ったことが3つあります。

 

  1.  兼務するチームの成功も含めて自分のチームの成功と定義する
  2. 自分のチームの主張をちゃんと伝える、兼務先の主張をちゃんと尊重する
  3. 本人の体調や精神的な負荷を特に注意する

 

 まず、1についてです。兼務する場合、評価などはそれぞれのチームの上長と会話することが多いと思います。実際に、今回のケースもそうなっているのですが、自分としては兼務先チームでの目標やそれに対する本人のモチベーションも確認して、両チームでの目標達成に向けて僕ができることを意識するようにしています。仮に自分のチームでの目標がうまくいっていなかったとしても、もう一方のチームでの取り組みがうまくいっていれば、それを上長としてちゃんと評価できるように心構えしていました。3にも絡む部分ではありますが、兼務をするというのは非常に心を使う働き方なので、2つのチームの間にいることで生まれる心理的な溝を、上長とである僕と本人でなくすことには腐心しました。そのため、本人がやっているCTO室の活動は元より、そのほかのメンバーの様子をみたり、手ごたえをmotemenに確認するなど、CTO室の活動がうまくいっているかどうかについては、特に気を使い、状況を見ながらマンガチームのタスクの難易度やスケジュールの喫緊度などの調整を行いました。

 

もちろん、マンガチームは紙との連動もあり、誌面の影響などで締め切りが存在するチームなため、当初想定していた通りの兼務時間を取れない時期もあります。ただ、チームがそういう状況であり、メンバーとして助けてほしいということはちゃんと本人や上長に伝えようと強く意識しています。急ぎのさしこみや調査が来た時もできるだけ、遠慮はしないように考えています。これはもちろん逆も真なりなので、時間に関わらない両チームからの依頼の平等性も強く意識しています。

 

3については、僕自身、メンバーの体調や精神的な負荷はもともと非常に気にするタイプのマネージャーではあります。またhitodeクン自体は非常にタフなこともあり、それに甘えてしまうシチュエーションも自分自身含めて過去にあったので、兼務をこなしてくれるだろうと考えることもできたとは思います。ただ、兼務でいえば、そのマネジメント部分については2名の上長が100%自分の部下だと思って本人とコミュニケーションするくらいにしないと本人側の負荷が高くなると最近は考えるようになりました。1にもかかわりますが、兼務先で楽しく働けているかなどそのメンバーの全体の活動についてマネジメントをする気持ちで会話する機会も増えました。

 

兼務先のタスクを意識して本人の全体の活動を意識することで、兼務先でやっている活動に「意味があるかどうか」についてポジティブな影響があったように思います。これらの恐怖は多くの場合、兼務先でなにが行われているかを「詳しく知らない」ために、意味があるかどうかが分からないという状況であり、実際に意味がないケースは少ないと認識できたことです。もちろん、hitodeくんは冒頭で上げたようなブログで状況を公開してくれるのでより把握しやすいというのもありますが、やはりそれは上長として情報を得ることで簡単に乗り越えられる恐怖になるのではないかなと感じています。

 

hitodeくんのエントリの中で触れられてるsukusyokunはチームでも活躍したシチュエーションもありますし、マカレルチームで展開されたモブプロをみてマンガチームでも導入してみようといった形で、CTO室の活動によって改善されたことを実感したり、マンガチームの外でも活用されていることをみて、改めて社内横断の取り組みの重要性も実感することもできました。

 

1と2と3は、こう考えようと、こうするとよいのでは?と自分なりに頭の中で試行錯誤してきた結果です。なにかそれを組織として仕組みに担保しているものではないので、hitode君以外の兼務メンバーやもし仮に彼が異動した場合にはまた別の兼務の形が生まれるかもしれません。

ただ、社内横断で開発効率を上げる取り組みをするためにはドラスティックな体制変更がないと難しいという状況は多くの組織で実際にある課題だと感じています。もちろん、弊社もその中の1つかもしれません。一方で、現場のマネージャーやディレクター が恐怖と向き合う勇気を振り絞れば、踏み出せる一歩もあると感じています。ドラスティックに体制を変更することはパワーがかかりますし、時間もかかります。その間に、開発効率は下がっていき、技術組織としての課題が山積されていくかもしれません。兼務は抜本的な解決につながる一手ではないかもしれませんが、坐して死を待つ前にできる応急処置の1つのはずです。その取り組みのための取り組みをするために、そして、そのために恐怖に打ち勝たないといけないマネージャー・ディレクターが勇気を振り絞れるとよいなと最近考えていたことを書いてみました。ご参考になれば幸いです。