daily thinking running

86世代として日々想い、走る日々。

社内横断で開発効率を上げる取り組みのための(個人的な)取り組み

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週末、トライアンドエラーに対するエントリが上がっていましたね。hitodeくんと一緒のチームに所属しているので、社内横断で開発効率を上げる取り組みをするために、同じチームの上長として考えてきたことを書いてみます。

 

僕は普段、マンガチームのディレクターを拝命しています。hitodeくんの所属チームはこのマンガチームとCTO室です。兼務で仕事をしてもらっているのですが、兼務をすること自体をCTOである id:motemen と本人に提案したのは僕だったと記憶しています。というのも、社内横断で開発効率を上げる取り組みをmotemenが企図している中で、hitodeくんはその活動に最適な人員として実感していたからです。とはいえ、チームで活躍するhitodeくんをそのままCTO室に出してしまうと4ヵ月連続でリリースしているチームの推進力を失ってしまうという「恐怖」も感じていました。

 

僕自身は、マンガチームのディレクターという役割に加えて、開発副本部長という役割も頂いています。この役職は事業を見るプロデューサーやサービスを見るディレクターという役割と異なり、組織をより良くするために改善できることを改善する役割です。その役割担っていることやマンガチームが非常にエンジニア数が多いチームであることにも後押しされて、なんとか恐怖に打ち勝って「兼務」という形をCTO室に提案することができました。

 

この恐怖というのものは厄介なもので、ディレクターはサービスと作るためにはできるだけサービスのために時間や人員を確保したいという気持ちが強くあります。ディレクターはサービスを作り、運営することが好きなこともあり、そもそもそのために時間がほしいという気質もあるでしょう。また、この手の開発効率を上げる取り組みに対して、自分が行う開発よりも「価値がある」と心の底から信じられるディレクターは少ないと思います。この「自分がやりたいこと」がやれず、「意味があるかわからないこと」に人を出すという恐怖がディレクターには少なからずあるはずです。

 

では、そうなると「兼務」という形で両方をとろうとするのですが、ディレクターがこの恐怖が頭から離れていない場合の「兼務」はうまくいかないことが多いと感じています。たとえば時間を区切って、仮に80%は自分のチーム、20%は他所のチームとした場合、80%の中で最大化することを意識してしまいがちです。また少なくなった分、どうにか効率的にできないかと考えがちです。

 

今回、hitodeくんの兼務にあたっては、この考え方から脱却しよう、それをできるだけ自分の気持ちや頭の中の仕組みで解決しようと考えていました。ちょうど数か月たって、こういう気持ち、こういう考え方が良いのではないかと思ったことが3つあります。

 

  1.  兼務するチームの成功も含めて自分のチームの成功と定義する
  2. 自分のチームの主張をちゃんと伝える、兼務先の主張をちゃんと尊重する
  3. 本人の体調や精神的な負荷を特に注意する

 

 まず、1についてです。兼務する場合、評価などはそれぞれのチームの上長と会話することが多いと思います。実際に、今回のケースもそうなっているのですが、自分としては兼務先チームでの目標やそれに対する本人のモチベーションも確認して、両チームでの目標達成に向けて僕ができることを意識するようにしています。仮に自分のチームでの目標がうまくいっていなかったとしても、もう一方のチームでの取り組みがうまくいっていれば、それを上長としてちゃんと評価できるように心構えしていました。3にも絡む部分ではありますが、兼務をするというのは非常に心を使う働き方なので、2つのチームの間にいることで生まれる心理的な溝を、上長とである僕と本人でなくすことには腐心しました。そのため、本人がやっているCTO室の活動は元より、そのほかのメンバーの様子をみたり、手ごたえをmotemenに確認するなど、CTO室の活動がうまくいっているかどうかについては、特に気を使い、状況を見ながらマンガチームのタスクの難易度やスケジュールの喫緊度などの調整を行いました。

 

もちろん、マンガチームは紙との連動もあり、誌面の影響などで締め切りが存在するチームなため、当初想定していた通りの兼務時間を取れない時期もあります。ただ、チームがそういう状況であり、メンバーとして助けてほしいということはちゃんと本人や上長に伝えようと強く意識しています。急ぎのさしこみや調査が来た時もできるだけ、遠慮はしないように考えています。これはもちろん逆も真なりなので、時間に関わらない両チームからの依頼の平等性も強く意識しています。

 

3については、僕自身、メンバーの体調や精神的な負荷はもともと非常に気にするタイプのマネージャーではあります。またhitodeクン自体は非常にタフなこともあり、それに甘えてしまうシチュエーションも自分自身含めて過去にあったので、兼務をこなしてくれるだろうと考えることもできたとは思います。ただ、兼務でいえば、そのマネジメント部分については2名の上長が100%自分の部下だと思って本人とコミュニケーションするくらいにしないと本人側の負荷が高くなると最近は考えるようになりました。1にもかかわりますが、兼務先で楽しく働けているかなどそのメンバーの全体の活動についてマネジメントをする気持ちで会話する機会も増えました。

 

兼務先のタスクを意識して本人の全体の活動を意識することで、兼務先でやっている活動に「意味があるかどうか」についてポジティブな影響があったように思います。これらの恐怖は多くの場合、兼務先でなにが行われているかを「詳しく知らない」ために、意味があるかどうかが分からないという状況であり、実際に意味がないケースは少ないと認識できたことです。もちろん、hitodeくんは冒頭で上げたようなブログで状況を公開してくれるのでより把握しやすいというのもありますが、やはりそれは上長として情報を得ることで簡単に乗り越えられる恐怖になるのではないかなと感じています。

 

hitodeくんのエントリの中で触れられてるsukusyokunはチームでも活躍したシチュエーションもありますし、マカレルチームで展開されたモブプロをみてマンガチームでも導入してみようといった形で、CTO室の活動によって改善されたことを実感したり、マンガチームの外でも活用されていることをみて、改めて社内横断の取り組みの重要性も実感することもできました。

 

1と2と3は、こう考えようと、こうするとよいのでは?と自分なりに頭の中で試行錯誤してきた結果です。なにかそれを組織として仕組みに担保しているものではないので、hitode君以外の兼務メンバーやもし仮に彼が異動した場合にはまた別の兼務の形が生まれるかもしれません。

ただ、社内横断で開発効率を上げる取り組みをするためにはドラスティックな体制変更がないと難しいという状況は多くの組織で実際にある課題だと感じています。もちろん、弊社もその中の1つかもしれません。一方で、現場のマネージャーやディレクター が恐怖と向き合う勇気を振り絞れば、踏み出せる一歩もあると感じています。ドラスティックに体制を変更することはパワーがかかりますし、時間もかかります。その間に、開発効率は下がっていき、技術組織としての課題が山積されていくかもしれません。兼務は抜本的な解決につながる一手ではないかもしれませんが、坐して死を待つ前にできる応急処置の1つのはずです。その取り組みのための取り組みをするために、そして、そのために恐怖に打ち勝たないといけないマネージャー・ディレクターが勇気を振り絞れるとよいなと最近考えていたことを書いてみました。ご参考になれば幸いです。